アスリートから地域おこし協力隊へ。地元・岩手県大船渡市で描くセカンドキャリア

岩手県大船渡市に興味をもっている方や地方移住を考えている方、「地域おこし協力隊」の活動に関心がある方のなかには、

果たして移住して、やっていけるだろうか?
地域の活動家は、どんな活動をしているのだろう?

という悩みをもっている人もいるのではないでしょうか?

今回インタビューしたのは箱根駅伝に出場し、実業団で活躍したのち、地元大船渡市にUターンした熊谷光(以下:熊谷さん)さん。現在陸上選手だった特性を活かし、「地域おこし協力隊」として大船渡市に貢献しています。

熊谷さんは、なぜ「地域おこし協力隊」の仕事を選んだのでしょうか。そして、その活動の先にどんな未来を思い描いているのでしょうか。

熊谷さんが地域おこし協力隊として、大船渡市に新たなる風を吹かせる様子を見ていきましょう。

【この記事を読んでほしい方💡】
・大船渡市に興味がある方
・地方移住を考えている方や地域おこし協力隊の活動に関心がある方
・自分のこれまでのスキルやキャリアを、地域おこしとしてどう活かしていけるか悩んでいる方

熊谷光
岩手県大船渡市出身。箱根駅伝に憧れて高校から陸上を始める。東京国際大学では箱根駅伝初出場メンバーとして第92回箱根駅伝6区出場。実業団では全日本実業団選手権2年連続入賞。2024年に現役引退し、美容系の個人事業を経て、2025年1月から大船渡市で「地域おこし協力隊」として活動。

駅伝部創部5年で初出場の快挙。子どもの頃からの夢を叶えた箱根駅伝

ーー熊谷さんのルーツである陸上競技についてお伺いします。陸上を始められたきっかけは何ですか?

走ることは小さい頃から好きでした。でも、大船渡市には陸上部がある中学校は少なく、陸上大会や駅伝の時期だけ足の速い子を集めて出場する「特設陸上部」に参加していたんです。

小学校3年生から中学3年生まで野球をしていて、本気で甲子園を目指していましたが、中学3年生の時に出た駅伝がきっかけで、高校から陸上競技を始めました。「個人の頑張りがそのまま順位に結び付く楽しさ」「努力が報われるうれしさ」を知ったからです。

さらに、箱根駅伝を見て思った、「この舞台に出てみたい」という気持ちも、陸上競技を始めた大きなきっかけです。

ーー箱根駅伝や実業団を経験されてきたなかで、特に印象に残っているエピソードはありますか?

僕が入った東京国際大学駅伝部は、大学創立50周年に合わせて「創部5年で箱根駅伝に出る」という理事長の宣言とともに創設されました。

毎年、約70校が箱根駅伝出場を目指していますが、実際に出場できるのは20校。創設間もない駅伝部が箱根駅伝を目指すことは、無謀な挑戦でした。実現できたことは快挙に近く、0から始めて結果を出したという経験は、僕の人生において、ひとつの“鍵”になっています。

チームが出場するのも大変ですが、箱根駅伝は10人しか走れないため、走るメンバーに選出されること自体も狭き門です。東京国際大学が箱根駅伝に初出場した年に走れたことは、印象深い思い出です。

いつかしたいと思っていた地元へ恩返し。「地域おこし協力隊」なら実現できると確信

イベント開催時の様子

ーー競技生活を経て、地元である大船渡市へUターンし、地域おこし協力隊になる道を選ばれた経緯を教えていただけますか?

大船渡市の皆さんにはずっと応援してもらっていたので、いつか恩返しをしたいと思っていました。大船渡市の人たちとは毎年連絡を取っていて、「地域おこし協力隊」の仕事があると教えてもらえました。

市役所の担当者とも面談したり、募集内容を見たりして、「僕の陸上競技で育んだ特性を生かせる」と思い、地域おこし協力隊になることを決めました。

ーー現在の地域おこし協力隊としての具体的な活動内容を教えてください。

テーマは、「ITの活用推進」です。

今スポーツ界では、デジタルツールを使ったデータ分析が欠かせないものになっています。また、お店のネット予約ができなかったり、そもそもホームページがなかったり、大船渡市は、まだまだITの活用が遅れているのが現状です。

まずはイベントなどの体験を通して、「IT」をわかりやすく伝えていきたいと思っています。

ーー活動の中で、一番やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

やりがいを感じた瞬間は、参加者の笑顔が見れた時ですね。

先日開催したイベントでは、大学の後輩のオリンピック選手やランニングYouTuberを招待しました。スポーツの魅力は、老若男女で交流できることです。参加者の生き生きとしている表情や姿を見られた時は本当にうれしいし、やって良かったと思いました。

大船渡市内に今はない競技場を造りたい。地方にいてもハンデのない街を目指す

ーー地域おこし協力隊の任期満了後のご自身のキャリアについて、現時点でどのように考えていらっしゃいますか?

「ITの活用推進」には、引き続き取り組んでいきたいと思っています。「地域おこし協力隊」としてのテーマであり、ミッションでもあるので。

それから、スポーツのクラブチームを作りたいと考えています。理想は、さまざまなスポーツのクラブチームを抱える会社を作り、いろいろな競技のクラブチームを運営することです。

学校の部活動は今後民間化されていきます。あと2、3年したら部活動は学校の先生ではなく、民間のクラブチームが請け負うことになるでしょう。都会の子どもでなくても競技が続けられるように、大船渡市でもクラブチームを実現したいと思っています。

ーー今後、地域おこし協力隊として、あるいは個人としての夢や目標はありますか?

市内には公式記録を測定できる競技場がないので、大船渡市に陸上競技場を造ることが、陸上競技をしている人の一番の願いです。

他には、美とスポーツの掛け合わせにも挑戦したいですね。一番の目標は、都会に行かなくても「大船渡ですべてが完結する」ことです。そのような環境造りにも取り組んでいきたいと思っています。

大船渡市に来るなら「地域おこし協力隊」に連絡してみよう

ーーこの記事を読んだ人が、実際に大船渡に来てみたくなったとします。まずどうしたらいいですか?

大船渡市の地域おこし協力隊にはいろいろな人がいるので、連絡を取ってみてください。体験ツアーをしている人もいますよ。

地域おこし協力隊の半数ぐらいは移住者なので、来訪者に対する理解もあると感じます。地元の人は大船渡市の良さが当たり前になっていて、移住者の方が大船渡市の良さをよくわかっていることもあるので、移住者の方とつながるのが一番だと思います。

ーー最後に、大船渡に興味をもってくれた方にメッセージがあればお願いします。

ぜひ一度、来てみてください。

大船渡市は新幹線が止まる駅から2時間ほどかかるので、アクセスは少し不便です。でも来てもらえれば、きっと好きになってもらえると思います。震災でボランティアに来た人が移住されているくらいですから。

震災後に復興した街並みもあるので、「いろいろな人の支援で、こういう街になったんだ」ということも感じられると思います。あのときの忘れられない気持ちがある人も、ここに来たら何か変わるかもしれません。

もちろん、自然の風景やおいしいご飯が好きな人にもおすすめです。なにより、大船渡市の人たちの“おもてなし”を、ぜひ体験していただきたいと思います。

☆ ☆ ☆

熊谷さんは「地元への恩返し」や「子どもたちを応援したい」と前向きな話をしてくださいました。きっと、ご自身が応援されて頑張れた経験があるからでしょう。

熊谷さんは、まだ地域おこし協力隊1年目です。地域おこし協力隊は最大3年まで活動できるため、これからの活躍が楽しみです。

最後に、大船渡市に関心をもっていただいた方のために、地域おこし協力隊の連絡先を載せておきます。ご興味がありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

【地域おこし協力隊連絡先😊】
名前   :河野
活動内容 :(認定)NPO法人おはなしころりんの活動補助。大船渡市に関わる人を取材。プライベートでは読書会を開催する。
できること:市内の様子をお伝えできます。その他、他の地域おこし協力隊への窓口を担います。
連絡先  :staff.kororin@gmail.com

〈取材・文=ひろゆき(@himon_da)/編集=小嶋 洋平(@a_w_kojima
)/監修=八巻美穂(@bh1ly)〉

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